皆さん、こんにちは。
群馬県大泉町の行政書士事務所、行政書士オフィスかわしまです。
当事務所では、化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可の取得代行をしております。また、化粧品関連の取得に関するご質問も承りますので、お気軽にご相談下さい。
最近ですが、化粧品を選ぶ際、自然由来の原料を使用しているか、あるいは、化学合成された原料を使用していないか、これらに注目されている方が増えているように思われます。
皆さんも使用するなら、自然由来の原料を使用した化粧品だな、なんて考えている方も多いかもしれません。
自然派化粧品なんてものもありますし、自然由来の原料というと、現在は環境という言葉が色々なジャンルでキーワードになっていることもありますので、自然由来の化粧品イコール環境に対してやさしいなんてイメージが出てくるようにも思えます。自然由来の原料を使用した化粧品は、大変安全で、安心なイメージをもたれるのではないでしょうか。ところが、化粧品という括りで考えますと、自然由来の原料が決して安心、安全とは言えない可能性があります。食品を考えてみても、自然界から採取したものをそのまま利用すると、私たちに何らかの不具合を引き起こすといったケースもあります。アレルギーはその最たるものです。こちらの記事で、この自然由来原料をした化粧品について、安全性という観点から解説致します。
自然由来原料とは?
自然由来原料とは、植物、動物、鉱物など天然資源から得られる成分を指します。代表的なものには以下のようなものがあります:
- 植物由来:アロエベラ、カモミール、ローズマリー、緑茶エキスなど
- 動物由来:蜂蜜、ミルク、コラーゲン(魚由来など)
- 鉱物由来:クレイ(粘土)、酸化亜鉛、マイカ(雲母)など
- 発酵由来:酵母エキス、乳酸菌由来成分など
これらの原料は、保湿、抗炎症、抗酸化、収れん、香り付けなど、様々な機能を持ち、製品の目的に応じて配合されます。
自然由来=安全ではない?
「自然=安全」というイメージは根強いですが、実際には自然由来原料にもアレルギーや刺激性のリスクがあります。人工的に製造されていない、自然由来原料だからこそのリスクです。以下の点に注意が必要です:
・アレルゲンの存在
植物エキスや精油には、アレルギー反応を引き起こす可能性のある成分が含まれています。例えば、ラベンダーやティーツリーオイルは抗菌作用がある一方で、敏感肌には刺激となることがあります。
・成分の変動性
自然由来原料は、収穫時期や産地、気候などによって成分構成が変わることがあります。これにより、製品の安定性や効果にばらつきが生じる可能性があります。
・微生物汚染のリスク
天然素材は、適切に処理されないと微生物やカビの繁殖源となることがあります。特に水分を含む植物抽出物は、保存料なしでは腐敗しやすい傾向があります。
こちらに記載した通り、自然界にある原料を化粧品にそのまま使用すると、使用するお客様によっては、皮膚トラブルなどの問題が発生する可能性があります。また、自然界のものには、いわゆる不純物等も含まれている可能性があり、この不純物等がトラブルを誘発する可能性も否定できません。
自然由来原料 安全性の確保と評価方法について
化粧品に使用される自然由来原料は、以下のような方法で安全性が評価されます:
①原料の精製と標準化
自然由来原料は、抽出・精製の過程で有害成分を除去し、有効成分を安定化させる処理が施されます。これにより、品質の均一化と安全性の向上が図られます。
②皮膚刺激性試験・アレルギー試験
製品化前には、ヒトパッチテストや動物実験(代替法含む)などを通じて、皮膚への刺激性やアレルギーの有無が検証されます。
③法規制と成分表示
日本では、薬機法(旧・薬事法)に基づき、化粧品に使用される成分は「化粧品成分表示名称」に従って表示されます。また、使用禁止成分や配合上限が定められており、自然由来であっても規制対象となる場合があります。
自然由来原料 環境と倫理への配慮
自然由来原料の使用は、環境保護や動物福祉の観点からも注目されています。
- オーガニック認証:農薬や化学肥料を使用せずに栽培された植物由来原料には、エコサート(ECOCERT)やコスモス(COSMOS)などの認証が付与されることがあります。
- 動物実験の代替:EUをはじめとする多くの国では、化粧品の動物実験が禁止されており、自然由来原料の安全性評価にも代替法が用いられています。
- フェアトレード:原料の生産地における労働環境や持続可能性に配慮した調達が推進されています。
化学合成された化粧品原料について
ここまで、自然由来の化粧品原料について、解説致しました。それでは、人工的に製造された、化学合成された化粧品原料の安全性はどうでしょうか?化学合成されたものでしたら、不純物という観点では、極力精製等され排除されています。また、自然界の原料と比較して、成分の純度という点でも高いと言えます。以下に、化学合成された化粧品原料の特徴を挙げてみます。
- 精製度が高く不純物が少ないです。化学合成された原料は、精製工程を経ることで不純物がほとんど除去され、安定した品質が得られます。分析では単純なピークパターンを示すことが多く、天然由来原料に比べて予測しやすい性質を持ちます。
- 安定性が高く変質しにくいです。高温や紫外線などの外的要因に対しても安定しており、製品の品質保持に貢献します。
- 安全性評価が徹底されています。化粧品メーカーでは、原料段階と製品段階の両方で安全性評価を行います。細胞試験やヒト試験(パッチテスト、アレルギーテストなど)を通じて、皮膚刺激性やアレルギー性の有無を確認します。
- 動物実験代替法の活用されつつあります。多くの企業では動物実験を行わず、再構築ヒト表皮モデルなどを用いた代替試験法で安全性を確認しています。
こちらに記載したように「化学合成=危険」というイメージは、化学合成された原料の良い点が理解されていない故に持たれるイメージになります。むしろ、天然由来原料の方が不純物や重金属を含むリスクがあり、精製しても複雑な成分構成を持つため、安全性の管理が難しい場合があります。
また、一部の化学成分(パラベン、シリコーンなど)は、不使用を期待されるなど、悪い印象を持たれがちです。しかし、これらの原料には、長年使用されてきた実績があります。長年使用されてきた実績があることから、適切な濃度で、適切な方法で、使用する限りは、安全性に問題ないことが実証されていると考えて問題ないでしょう。問題がある原料であれば、長年使用されず、使用そのものが禁止されるでしょう。
消費者の化粧品の選び方について
以上、自然由来の原料、化学合成された原料について、安全性という観点から説明致しました。消費者の方が化粧品を購入される際に、注意してほしい点について記載致します。
- 成分表示を確認する:植物名や抽出部位、精油の種類などをチェックし、自身の肌質に合うかを見極める。
- パッチテストを行う:初めて使用する製品は、腕の内側などで少量試してから使用する。
- 認証マークの有無:オーガニックやヴィーガン認証など、第三者機関の評価を参考にする。
- 保存方法に注意する:自然由来原料を多く含む製品は、冷暗所での保管や使用期限の確認が重要です。
自然由来原料、化学合成原料についてまとめ
自然由来原料は、化粧品において魅力的な機能を持つ一方で、科学的な安全性評価と法的な規制が不可欠です。「自然=安全」というイメージにとらわれず、成分の特性や肌質との相性を理解したうえで、適切に選び、使用することが大切です。消費者としては、成分表示や認証制度を活用しながら、安心して使える製品を見極める力が求められます。
決して、自然由来の原料を否定するわけではありませんが、自然由来の原料が安心、安全であるという、固定観念は必ずしも持たない方がよいかと思います。先に記載しました通り、自然由来故のトラブル誘発要因があります。そして、合成原料にも利点がありますので、自然原料使用にこだわりすぎずに、化粧品を選択された方がよいかと考えております。柔軟な思考で化粧品の選択をお楽しみ頂くのをおすすめします。
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