皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。
休日など町中を散策していると色々な商品を取り扱ったリサイクルショップを見かけます。多くの事業者様が中古商品の販売に参入されていますね。お店に入ると時間を忘れて、あれを見よう、これを見ようとなる方も多いのではないでしょうか?日本以外の国でも「もったいない」という言葉が知られている昨今、ものを大切にするというカルチャーを育む上で、リサイクルショップが果たす役割は大きいと思います。
このリサイクルショップ、様々なジャンルの商品を扱ってはいますが、さすがに、医療機器は扱っているところ、街中では見かけません。まあ、一般大衆の方の需要にはマッチしていないので、取り扱うお店がないのも納得ではあるのですが。ただ、販売しているお店を見かけないから、取り扱っているお店がないのかというと、そうでもありません。インターネットで検索して頂くと、医療機器の中古販売ショップなんてものもあります。たとえ、多くの方が必要ないと思っているとしても、中古の医療機器、必要とする方もいるのです。
こちらの記事では、そんな中古の医療機器を販売したい、ビジネスを始めたいとお考えの方に必要となる許認可等を中心に解説させて頂きます。医療機器の中古販売は、一般的な古着や家具の転売とは異なり、極めて厳格な規制が存在します。人の生命や健康に直結するため、「古物商許可」だけでは販売できず、厚生労働省が定める「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」に基づく複数の許認可・手続きが必要となります。
医療機器の「クラス分類」について
まず前提として、扱う医療機器がどのレベルの法的リスクに分類されるかを知る必要があります。これによって必要な許可の種類が変わります。
| クラス分類 | リスク度 | 医療機器代表例 | 必要な許可・届出 |
| 一般医療機器(クラスⅠ) | 極めて低い | ピンセット、メス、救急絆創膏 | 届出不要(ただし中古特有のルールあり) |
| 管理医療機器 (クラスII) | 低い | 電子体温計、マッサージ器、補聴器 | 管理医療機器販売業・貸与業の届出 |
| 高度管理医療機器 (クラスIII/IV) | 中〜高い | コンタクトレンズ、人工透析器、ペースメーカー | 高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可 |
必要な主要許認可(ライセンス)について
中古医療機器を販売するためには、以下の2種類のライセンスが必要です。
- ① 薬機法に基づく「販売業」の許可・届出
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- 医療機器を販売・授与・賃貸するためには、そのクラス分類に応じた都道府県知事の許可が必要です。
- 高度管理医療機器等販売業・貸与業許可:取得には構造設備基準のクリアや「管理者」の設置が必要です。
- 管理医療機器販売業・貸与業届出:クラスIIを扱う場合に必要です。
- ② 古物営業法に基づく「古物商許可」
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中古品を買い取って販売する場合、警察署(公安委員会)から「古物商」の許可を得る必要があります。医療機器であっても、一度消費者の手に渡ったものを扱う以上、この許可は必須です。
中古医療機器特有の重要ルール「通知義務」と「メーカー点検」について
それでは、許認可を取得すれば、中古の医療機器が販売できるかと言うと、それだけでは足りません。ここが最も重要なポイントです。販売業の許可を持っているだけでは、中古医療機器は販売できません。薬機法第170条(旧第93条)等に基づき、以下のプロセスが義務付けられています。
- A. 製造販売業者への事前通知
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中古の医療機器を販売しようとする者は、その製品の「製造販売業者(メーカー等)」に対して、「これからこの中古品を販売します」と事前に通知しなければなりません。
- B. 製造販売業者による指示の遵守
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- 通知を受けたメーカーは、その製品の品質を保証するために、販売業者に対して「点検が必要か」「修理が必要か」などの指示を出します。
- メーカーが「点検が必要」と言えば、メーカーに点検を依頼しなければなりません。
- メーカーが「これは中古販売に適さない(寿命や安全性の問題)」と判断した場合、その個体は販売できません。
- C. 指示内容の記録保存
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メーカーからの指示内容や、それに基づいて行った点検の結果は、記録として保存する義務があります。
営業所に必要な「管理者」の要件について
許可を得るためには、各営業所に適切な知識を持つ「管理者」を置く必要があります。管理者になるための要件を挙げます。ご自身が要件を満たすかどうか、ご相談頂ければ、当事務所で確認させて頂きます。
- 高度管理医療機器の場合:
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- 医師、歯科医師、薬剤師の資格を持つ者
- 基礎講習を修了したもの
- 医療機器の第一種製造販売業の総括製造販売責任者の要件を満たす者
- 医療機器の製造業の責任技術者の要件を満たす者
- 医療機器の修理業の責任技術者の要件を満たす者
- 薬事法の一部を改正する法律(平成18年法律第69号)附則第7条の規定により薬事法(昭和35年法律第145号)第36条の4第1項に規定する試験に合格したとみなされたもののうち、同条第2項の登録を受けた者
- 財団法人医療機器センター及び日本医科器械商工団体連合会が共催で実施した医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了した者
- 管理医療機器の場合:
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- 医師、歯科医師、薬剤師の資格を持つ者
- 基礎講習を修了したもの
- 医療機器の第一種製造販売業の総括製造販売責任者の要件を満たす者
- 医療機器の製造業の責任技術者の要件を満たす者
- 医療機器の修理業の責任技術者の要件を満たす者
- 薬事法の一部を改正する法律(平成18年法律第69号)附則第7条の規定により薬事法(昭和35年法律第145号)第36条の4第1項に規定する試験に合格したとみなされたもののうち、同条第2項の登録を受けた者
- 財団法人医療機器センター及び日本医科器械商工団体連合会が共催で実施した医療機器販売適正事業所認定制度「販売管理責任者講習」を修了した者
施設・構造設備の基準について
許可を得るためには、営業所の環境もチェックされます。
- 清潔さ: 医療機器を衛生的に保管できること。
- 区分け: 他の商品や、販売用でないもの(点検待ちのもの等)と混同しないよう明確に区分されていること。
- 台帳の整備: どこの誰から買い取り、いつメーカーに通知し、誰に売ったかを追跡できる「譲受・譲渡記録」を管理する体制。
注意!!「特定保守管理医療機器」について
クラス分類とは別に、「特定保守管理医療機器(特保守)」という区分があります。これは、保守点検に専門的な知識が必要な機器(X線装置、レーザー手術刀、人工呼吸器など)を指します。特保守に該当する場合、たとえクラスII(管理医療機器)であっても、「許可」が必要となり、非常に厳しい管理が求められます。中古の特保守を扱う場合、メーカー点検のハードルも一段と高くなります。
実務上の流れについて
中古医療機器販売の一般的な流れは以下の通りです。
- 仕入れ:中古の医療機器を買い取る(古物商の本人確認実施)。
- メーカー確認:その機器の製造販売業者を特定し、文書で販売の意向を通知する。
- 点検の実施:メーカーの指示に従い、メーカーまたは登録修理業者に点検を依頼する。
- 表示の修正:必要であれば、中古品である旨や販売元を明記する。
- 販売:購入者に対し、添付文書や使用上の注意を適切に提供する。
- 記録:記録を保存する。取り扱っている医療機器によって保管期間が異なりますので注意が必要です。
違反した場合のリスクについて
こちらの記事で説明した事項を守らずに無許可・無通知で販売した場合、厳しい罰則があります。
- 懲役・罰金:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(または併科)。
- 行政処分:営業停止や許可の取り消し。
- 損害賠償:万が一、未点検の中古機器で事故が起きた場合、販売業者は製造物責任(PL法)や過失致死傷の責任を厳しく問われます。
まとめ
中古医療機器の販売は、単なる「転売ビジネス」ではなく、「医療の安全の一端を担う責任ある業務」です。参入に当たり、注意点を以下に何点か挙げました。
- コスト面:メーカー点検費用が発生するため、利益率が圧迫される可能性があります。
- 手間:1台ごとにメーカーへの通知が必要なため、大量の在庫を回転させるにはシステム化された管理体制が不可欠です。
- 法律:薬機法は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を追う必要があります。
お問合せ
当事務所では、「高度管理医療機器等販売業・貸与業許可」、「管理医療機器販売業・貸与業届出」の新規申請、更新申請のサポートをしております。こちらの記事で取り上げましたように、中古の医療機器を取り扱う場合にも、これらの許認可は必須となります。中古医療機器ビジネスをお考えの方、お気軽に当事務所にご相談下さい。
また、当事務所では、古物商許可申請のサポートもしますし、産業廃棄物収集運搬業許可の申請についても対応致します。お気軽にお問合せ下さい。
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