皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。
群馬県では、いわゆる「スクラップヤード」と呼ばれる再生資源物の屋外保管事業場を適正に管理し、周辺の生活環境の保全や県民の安全確保を目的とした「群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例」が可決され、令和8年(2026年)10月1日から施行されることになりました。
近年、金属価格の高騰などに伴いスクラップヤードが急増した一方で、山積みにされた保管物の崩落、火災の発生、油の流出による環境汚染、騒音・振動、さらには盗難品の持ち込みといったトラブルが全国的に社会問題化しています。これらは既存の廃棄物処理法や自動車リサイクル法などの枠組みだけでは十分に規制しきれなかったため、群馬県独自に法的根拠を持った強い規制を敷くこととなりました。
こちらの記事では、本条例の全体像について、対象となる条件、具体的な規制・基準、手続きの流れ、違反時の罰則などを網羅して解説します。
当事務所では「群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例」についてのお問合せを受け付けます。お気軽にご相談下さい。
規制対象となる「事業者」と「物品」の定義について
本条例の規制対象(許可が必要な事業者)になるかどうかは、以下の「物品」「行為」「機械」「面積」の4つの条件をすべて満たすかで判断されます。
- ① 対象となる物品(再生資源物)
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使用を終了して収集されたもののうち、以下のいずれか、またはこれらを含む混合物が対象です。
- 金属(鉄くず、銅線、アルミサッシなどの金属スクラップ)
- プラスチック(廃プラスチック類、樹脂くずなど)
- 混合物(通称:雑品スクラップ)(家電製品やモーターなど、金属とプラスチックが一体となったもの)
※対象外となるもの:
すでに法律で厳格に管理されている「廃棄物処理法上の廃棄物」や「自動車リサイクル法上の対象(使用済自動車・解体自動車等)」、および「有害使用済機器」は本条例の対象から除外されます。
- ② 対象となる行為
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屋根や壁のない「屋外」において、これら再生資源物の「保管」や、それに伴う「破砕、切断、圧縮、解体、洗浄等の処理」を行っていること。
※メーカーが自社工場で自ら原材料として使用するために一時保管するようなケースは除かれます。 - ③ 使用する機械(重機)
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屋外での積み上げ・移動作業に、以下の重機を使用している場合が対象です。
- 油圧ショベル(およびこれに類する知事が定める機械)
- 大型フォークリフト(フォークを最も高く上昇させたときの高さが3メートルを超えるもの)
※手作業のみで行っている場合や、最大揚高3メートル以下の小型フォークリフトしか使わない事業場は対象外です。
- ④ 事業場の敷地面積
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事業場の敷地面積が100平方メートルを超える場合。
※単体で100平方メートル以下であっても、隣接する複数の事業場の合計面積が100平方メートルを超える場合は合算して判断されます。
許可制度と手続きの流れについて
上記の条件を満たす事業を営む、あるいは新たに始めようとする場合は、群馬県知事の許可を受ける必要があります。
- 5年更新制: 許可の有効期間は5年間です。事業を継続する場合は、5年ごとに更新申請を行う必要があります。
- 事前協議の義務化: 新たに事業場を設置する場合や、大規模な変更を行う場合は、周辺住民への周知や地域理解を促進するため、あらかじめ県との「事前協議」を義務付ける規程が設けられています。
事業者が遵守すべき「3大基準」について
許可を取得・維持するためには、群馬県が定める厳しい「構造基準」「保管等基準」「維持管理等基準」をすべてクリアしなければなりません。
- ① 構造基準(ハード面の規制)
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- 囲いの設置: 事業場の周囲には、みだりに人が立ち入るのを防ぎ、構造耐力上安全な「囲い」を設置しなければなりません。原則として高さ2メートル以上であり、波型亜鉛メッキ鋼板(トタン)等と同等以上の耐久性を持つものと規定されています。
- 床面の不浸透性と排水設備: スクラップに付着した油や汚水が土壌に染み込むのを防ぐため、保管・処理を行う底面はアスファルトやコンクリートなどの不浸透性材料で覆う必要があります。また、油水分離装置や排水溝の設置も義務付けられます。
- 防音・防塵対策: 粉じんが生じる恐れがある場合は集じん設備や散水・湿潤設備を、破砕機などには非常停止装置を設ける必要があります。
- ② 保管等基準(運用の規制)
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- 積み上げ高さの制限(崩落防止): 保管物の積み上げ高さは、周辺への崩落を防ぐため原則として上限5メートルに制限されます。さらに、敷地境界線や囲いの下端から一定の勾配(50%の勾配=水平距離に対して高さが半分)の範囲内に収める必要があります。
- 火災・延焼防止措置: 特に火災リスクが高いとされる「雑品スクラップ(金属とプラスチックの混合物)」については、以下の個別基準が敷かれています。バッテリー(電池)や潤滑油などの発火原因物質は、技術的に可能な限り事前に回収・処理すること。1区画あたりの保管面積を200平方メートル以下に制限すること。隣接する保管区画との間に2メートル以上の離隔距離(スペース)を空けること(耐火性のある仕切りがある場合を除く)。
- 視認性の確保: 営業時間内において、事業場の外部から屋外保管の状況が見えるよう(密室化して不正な物品が隠されないよう)、視認性を確保しなければなりません。
- ③ 維持管理・地域配慮基準
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- 営業時間の制限: 周辺住民の平穏な生活を守るため、営業時間は原則として「午後9時から翌日午前6時までの間は行わない」「1日あたり10時間を超えない」「連続して6日を超えない」「原則として日曜日等の休日は行わない」といった厳しい時間制限が設けられています。
- 標識の掲示: 公衆から見えやすい場所に、許可番号、保管物の区分、最大積載高さ、現場責任者の氏名などを記載した「縦横60cm以上の標識」を掲示しなければなりません。
- 帳簿の作成・5年間保存: 不正品(盗難品など)の流通抑止のため、再生資源物の取引年月日、相手方の氏名・住所、数量などを詳細に記録した帳簿を作成し、5年間保存することが義務付けられます。
重要!!! 既存の事業者に対する「経過措置」について
条例が施行される令和8年(2026年)10月1日より前から、すでに群馬県内で該当する事業を行っている既存の事業者に対しては、急な操業停止を避けるため以下のような経過措置(猶予期間)が設けられています。
| 措置の内容 | 期限・内容 |
| 事業の継続について | 施行日から6ヶ月間は、許可がなくてもそのまま操業を継続できます。 |
| みなし許可(届出) | 施行日から6ヶ月以内(令和9年3月31日まで)に県へ必要な届出を行うことで、施行日に「許可を受けたもの」とみなされ、5年間の操業が認められます。 |
| 構造基準の猶予 | 囲いの設置や床面のアスファルト施工といった「構造基準」への適合については、施行日から1年間の猶予期間が与えられます。 |
令和9年3月31日までの届出期間を過ぎてしまうと「みなし許可」の特例を受けられなくなり、新規の許可が下りるまで一切の重機作業や操業ができなくなるため、既存事業者は期間内の確実な届出と、猶予期間内の基準適合化(ヤードの改修工事など)を進める必要があります。
刑罰(罰則)と両罰規定について
悪質な違反者に対しては、以下のような厳しい刑事罰が科されます。
- 無許可での営業、または県の措置命令・操業停止命令に違反した場合:拘禁刑(懲役)または高額な罰金。
- 虚偽の報告をした、または県の立ち入り検査を拒んだ・妨害した場合:罰金。
さらに「両罰規定」が適用されるため、違反行為をした従業員個人だけでなく、その事業者を経営する法人や事業主(会社自体)に対しても同時に重い罰金刑が科される仕組みになっています。
まとめ
群馬県の「再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例」は、これまで法的なグレーゾーンになりがちだった金属・プラスチックスクラップの屋外保管(スクラップヤード)に対し、県が主導して厳しく対応する規制です。
事業者にとっては、アスファルト舗装や囲いの設置といった初期投資、営業時間制限や帳簿作成といった運用の徹底など、非常に重い対応コストが求められます。しかし、これは火災や崩落といった大事故を防ぎ、地域住民と共生しながら「健全な資源循環ビジネス」として社会的に認められるために不可欠なハードルと言えます。令和8年10月の全面施行に向けて、対象事業者は早期の現状把握と対策(県への事前相談やヤードの改修計画)が必要不可欠となっています。
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