皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所、行政書士オフィスかわしまです。
当事務所では、化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可の新規申請、更新申請のお手伝い、代行をしております。お気軽にご相談下さい。
化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可を取得する上で、必要となる要件の一つに、総括製造販売責任者、責任技術者の資格要件があるのはご存じと思います。そして、なかなか表に出しにくい問題ではあるのですが、この資格要件を満たす方が社内にいないため、実態として「名前だけを借りて、実際には業務に関与しない」、いわゆる名義貸しを検討されている業者様もあるかもしれません。この名義貸し、結論から申し上げますと、名義貸しは企業にとって「時限爆弾」を抱えるような極めてリスクの高い行為です。こちらの記事では、この名義貸しを止めるべき内容を、いくつかの観点から説明させて頂きます。
総括製造販売責任者、責任技術者の資格要件について
まずはじめに、「化粧品製造販売業許可を取得、維持するために必要となる総括製造販売責任者」、そして、「化粧品製造業許可を取得、維持するために必要となる責任技術者」、それぞれについての資格要件を説明します。
- 総括製造販売責任者の資格要件について
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以下のいずれかを満たす必要があります。
- 薬剤師の資格を持つ者
- 大学等で薬学・化学の専門課程を修了した者: 化学、応用化学、薬学などの学位を持っている場合です。
- 高校等で薬学・化学を修了 + 3年以上の実務経験: 旧制中学や高校で化学の課程を修了し、その後、製造販売業または製造業において品質管理や安全管理の実務に3年以上従事した者。
- 責任技術者の資格要件について
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以下のいずれかを満たす必要があります。
- 薬剤師の資格を持つ者
- 大学、旧制大学、専門学校等で、「薬学」または「化学」に関する科目を履修して卒業した者。
- 高校や旧制中学で薬学・化学を学び、卒業後に化粧品の製造実務を3年以上経験している者。
薬剤師の方や、大学の工学部、理学部等で化学系の学科を卒業されている方であれば、問題なく、総括製造販売責任者、責任技術者の資格要件を満たせるものと思います。とは言え、工学部、理学部を卒業された方でも、皆が皆、化学系の学科を卒業されているわけではないかと思います。そのため、最初の許認可取得の際は、資格者を探すのに苦労されるなんてことも、無きにしもあらずかなと思われ、その結果、先に書きました「名義貸し」といったことが起こるケースもあるのかなと。
「名義貸し」による法的リスクについて
「名義貸し」による法的リスクとして、薬機法違反による厳罰があります。化粧品製造販売業・製造業において、先に説明した通り、薬剤師(または特定の資格者)の設置は「許可要件」です。名義貸しはこの根幹を揺るがす行為であり、発覚した際の法的ダメージは甚大です。考えられる法的リスクを以下に挙げます。
- 虚偽申請と許可の取消し
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許可申請時に、実際には勤務実態のない薬剤師を責任者として届け出ることは「虚偽の申請」にあたります。これが発覚した場合、許可の取り消しという、事業継続が不可能になる最も重い行政処分を下される可能性が高いです。
- 業務停止命令と社会的信用の失墜
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許可そのものが取り消されずとも、数週間から数ヶ月の「業務停止命令」が出るケースがあります。この期間、商品の出荷は完全にストップします。取引先への供給責任を果たせなくなるだけでなく、行政処分は各都道府県のホームページ等で公表されるため、「法律を守らない企業」というレッテルを貼られ、ブランドイメージは一瞬で崩壊します。
- 刑事罰の対象となる可能性
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名義を貸した薬剤師本人、およびそれを利用した企業側(法人の代表者等)には、懲役や罰金などの刑事罰が科せられる可能性があります。これは単なる行政上のミスではなく、「犯罪」として扱われるリスクがあるということです。
「名義貸し」による運営のリスクについて
運営面で考えた場合、正式な総括製造販売責任者、責任技術者がいないということは、事業者として、化粧品の製造、製造販売で重要な、品質保証と安全管理の両輪が欠如した状態で、事業を行っていることになります。つまり、化粧品の責任者は、単なる「飾り」ではありません。薬機法に基づき、製品の品質(GQP)と安全(GVP)を担保する極めて重要な役割を担っています。
とりわけ、化粧品製造販売業許可では、総括製造販売責任者が、市場に出荷される製品が適切な品質基準を満たしているかを最終判断します。名義貸し状態では、この「出荷判定」が形骸化します。その結果、成分の配合ミス、不純物の混入、表示内容の違反など、本来確認され、除かれるべきものが出荷され、回収の事態に陥る可能性もあります。
また、健康被害への対応も難しくなるかもしれません。もし製品の使用によって消費者に肌荒れやアレルギー反応などの健康被害(副作用)が発生した場合、責任技術者や総括製造販売責任者は迅速に原因を究明し、厚生労働省への報告や製品回収の判断を下さなければなりません。 専門知識を持つ責任者が不在(名義貸し)の状態では、初期対応が遅れ、被害が拡大する恐れがあります。これは企業の賠償責任を増大させるだけでなく、刑事責任を問われる要因にもなります。
経済的リスク 自主回収の可能性について
名義貸しが発覚したり、それによって品質管理が疎かになったりした場合、最悪のケースと言えるのが製品の自主回収(リコール)です。自主回収には、膨大なコストが発生します。
仮に1つの製品を回収する場合でも、以下のような費用が発生します。金額にしたら、かなりの額になることが予想され、会社の規模によっては、会社の存続自体に大きな影響が出る可能性もあります。
- 全販売先への連絡・お詫び費用
- 製品の返送送料・廃棄費用
- 代金の返金対応
- 代替品の手配
そして、これらの金額面でのマイナス面だけでなく、会社のブランドイメージの棄損にもつながります。多額の広告費をかけて育ててきたブランドが、1回のリコールで市場から退場を余儀なくされます。名義貸しという「目先のコスト削減」のために、これまで積み上げてきた全ての投資をドブに捨てることになりかねません。
会社の従業員への影響
名義を貸している薬剤師等の資格者自身も、自分の免許が停止・取消しになるリスクを負っています。そのため、薬剤師が不安を感じて「やはり辞める」と言い出した場合、後任の資格者を用意する必要が出てきます。そして、 後任が見つからなければ、許可要件を満たせなくなり、法的に1日も営業できなくなります。名義貸しという「弱み」を握られているため、薬剤師側から不当な条件を突きつけられるといった、健全ではない主従関係が生まれるリスクもあります。
そして、会社の従業員にも、悪影響を及ぼす可能性があります。自分の会社が、名義貸しで許可を得ていることを知った場合、社員のモラル、やる気に影響するかもしれません。仮に自分自身が従業員であった場合、会社が法律に反することを行っていて、嫌になりませんか?
行政側の監視等について
現在、医薬品・化粧品業界における不正等の影響もあり、行政側の監視の目は厳しくなっています。
その一つに、立ち入り調査の厳格化が挙げられます。 各都道府県の薬務課による査察では、責任者が実際に勤務しているか、出勤簿や給与明細、押印の記録、日常的な業務記録(メールや承認文書)まで細かくチェックされます。また、事前に査察の日程を伝えず、抜き打ちで行うケースもあるようです。このようなケースでは、「名義貸しの資格者」が対応するのは難しいでしょう。
そして、責任者の「責務」が明確化されています。 法改正により、総括製造販売責任者等の権限と義務がより明確化されました。経営者が責任者の意見を尊重しなかった場合の罰則も強化されており、「形だけの責任者」が通用しない仕組みが整いつつあります。
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